ずっと前の話だけど、認知症のYさんって人がいたんだけどね。
その人は、アルツハイマー型認知症で、とにかく施設の中を端から端までウロウロ、ウロウロ疲れ果てても歩き回る人だったの。
周りに害があるわけではないから、どうぞご自由に~って感じだったんだけど、歩いてる本人も、周りも何を目的としているかわからなかったんだよね。
多分、本人は最初は『息子を迎えに行かなきゃ』とか『夫が帰ってくるからご飯の買い物に行かなきゃ!』なんて自分の中に理由があったと思うんだけど、歩いてるうちに、その理由も忘れちゃってたと思うのね。
で、疲れ果てるまで歩き続けてしまうような人だったの。
(ちなみに、徘徊は周りの人から見るとそうかもしれないけど、本人にとっては目的行動だから厳密にいうと徘徊ではないね。)
そこで、ある時、ホウキを手渡してみたんだ。
そうしたら「ホウキ」=「掃くもの」=「私の仕事」って流れができて、ホウキを持ってお掃除をしてくれるようになったんだ!
そしたらYさん、急に周りから「ありがとう!」とか「ごくろうさま!」って声を掛けてもらえるようになってね。
なんと、認知症の症状もグッとよくなっていったんだよ~!
どんな形であれ、人との関わりが増えると認知症の症状はぐっと良くなる。
ホウキを持たなきゃただの徘徊。
ホウキを持ってたら掃除をする人。
ただ歩いてる人に、ほうきを持ってもらうだけで、その人は、ただ歩いてる人から、お掃除をしている人に変身できるんだよね。
こういうことが、周りのスタッフに求められるテクニック。
よく『役割を持ってもらう』というのはケアプランにも出てくるけど、何をしてもらったらいいかわからないってこと多いのが現実。
でも、どんなに認知症が深い人でも、何もできない人はいない。
例え重度の寝たきりでも、そこに存在しているだけで良いんだから。
そして、スタッフは「〇〇をさせる人」になってはいけない。
「一緒にする人」か、「教えてもらう人」または横の繋がりとして「依頼する人」が良いよね。
それじゃなかったら、完全に裏方の黒子に徹すべし!
スタッフには、その人の「良いとこ探し」のプロになって欲しい。
『できないこと探し』『問題点探し』をするのではなく、『できること』『良いところ』を探すようにすれば、良いプランが作れるよ。
と言いつつ、なかなか息子たちには厳しくなってしまう母ですが(;^ω^)
じゃ♪
明日も、良い風が吹きますように☆
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