赤ちゃんというのは。
何にでも好奇心旺盛で。
誰にでも遠慮なく。
何にでも手を出して。
何をやっても、かわいがられる。
普段、あまり笑わない人も、赤ちゃんの前だと笑顔になる。
しかも、作り笑いではない「本物の笑顔」
赤ちゃんを相手だと、丸裸にされる。
赤ちゃん相手に、作り笑いは必要はないからね。
自然と笑顔になれば、それは本物の笑顔。
そして、赤ちゃんと認知症のお年寄りは相性がいい。
どちらも、無垢だから。
いろいろややこしいことを考えずに。
素。
そのまんま。
面倒な利害関係を考えるわけでもなく、言葉を選ぶ必要もなく、気も使わなくていい「超適当」が許される関係。
認知症のお年寄りが何度も同じことを言っても
『それさっきも聞いたよ』
なんて言われないし、思われない。
それにね、「赤ちゃんは、自分より弱く守るべき存在」って記憶にインプットされてるから、普段攻撃的な人だって、赤ちゃんの前では優しく穏やかになる。
真面目な研究により、認知症の方が定期的に赤ちゃんと触れ合うことで、攻撃性が減ったり、記憶力が上がったという報告もされているそう。
触れ合わなくても、赤ちゃんを見ているだけでも、なんとなくそこにいるというだけでもいい。
私は「赤ちゃんがいる多機能施設」を作りたい。
昔の大家族のイメージには、高齢者だけ集まってたんじゃダメ。
いろいろな年齢層にいてほしい。
でもね。
赤ちゃんって、子供って、当たり前だけど泣くのよ。
時には静かにして欲しい。
泣き声がうるさい。
相手をするのが面倒くさい~!
ってこともある。
これは、事実だから、仕方がない。
だって、生きてるんだもの。
お人形とは違うんだから。
そんなときは、そっと離れ離れになる空間を作ればいい。
お母さんがそうなった時だって、誰かが助けてあげればいい。
親子じゃないし、親戚でもないけど、みんなが家族に近い関係を作りたい。
スタッフだって、時には娘にも、孫にも、母親にだってなれる、そんな演技派スタッフでいてほしい。
「患者さんに深入りしすぎてはダメ」なんて、医療界では言われるけど、介護の世界ではとことん深入りしていい。
だって、相手は人間だもの。
遠慮してたら、その人の人生なんてわからない。
何が好きで、何が嫌いで、何を大切にしてきて、どんな生き方をしてきて、どう生きていきたいのか、なんてわからない。
赤ちゃんも、子供も、お年寄りも。
人対人の付き合い。
変に関係に境界線を引いてしまう必要って、何?
人と人。
いろんな人生。
その人生が良くなるお手伝いを、仕事としてさせてもらうのが、スタッフ。
それでいいじゃん。
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